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悩みとは
~悩みとは~
悩み事の解決の一番の方法は、解決に向かって具体的な行動を起こすことです。しかし、人の悩みの原因は、多岐にわたり、さまざまな事情でそういうところまで至らないとおっしゃる方もたくさんいらっしゃることと思います。
そういうことを抱えるのは、なかなかの苦しみです。
私の知っている和尚さんは「不安を大切にしろ」とおっしゃいます。不安や悩みがあるということは、坐禅の修行を成就するためのとても大事なきっかけとなります。少なくとも、我々が人生の袋小路のような状況に陥ってしまった時に、坐禅がまったく別の新しい視点を与えてくれることは確かなことです。
例えば、自分にとってあまり好ましくない人に会うことを「怨憎(おんぞう)会苦(えく)」と言います。
近所の農家さんの畑で、作物が実るとタヌキやアナグマ等の動物がそれを拝借しにやってくることがあります。農家の人は、動物たちに多少の文句を言うこともありますが、ほんの一言二言でその話は終わってしまいます。ところが、会社の口うるさい上司に怒られたなんていうお話は、お酒の席などで、二時間も三時間も続くことがあるのではないでしょうか。

人は、人に対してとても神経質で、感情的になりやすいのです。丹精込めて作った野菜を無断拝借する動物に対しては、わりあいと寛容になれても、口うるさいながらも仕事を教えてくれて、また助けてもくれるはずの会社の上司にはなかなか寛容になれないところが人間の不思議なところであり、面白いところでもあります。けれども、この面白いところが時には深刻な悩みのタネになってしまうことがあるのが困ったところです。
坐禅は、そういう複雑で難しい働きをする心を自分の手の内におさめるための修行なのです。
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